「"ジャストゼロ釣法"の尾長釣り」


今年もやがて私の一番大好きな、尾長釣りの季節がやって来ようとしています。

尾長釣りの本来は口太グレとは全く違って、旬の季節は5月下旬からなのです。
と同時に、当然ながら両者のその釣り方も違ってきます。

"静"の口太に対して、"動"の尾長、といったら極端な表現になってしまいますが、潮の敏感さに対する両者の反応にはかなりの違いがあるようです。

そこでこれからの季節の尾長釣りなのですが、尾長釣りの魅力の一つに、棲んでいる海域のその潮の動きがあげられます。

ごうごうと音を立てて流れる本流、渦巻き湧き上がる複雑な潮、ヨレと変幻自在に奔流されながら形を変えてゆく潮目、いずれも尾長釣りには格好の条件です。

"これぞまさしく男の磯釣り"、そんな感じを海からも自然と嫌おうなしに味合わせてくれるのですから、そんな釣り場の海を眺めているだけでも、私にとってその魅力には尽きないモノがあるのです。

そこでこれからの時期の尾長釣りについての対処方法なのですが、まずは基本的なタックルと簡単な解説から。

タックルは当然ながら狙う大きさによって違います。

50cmクラスまでなら竿はインターラインメガドライ1.5号〜1.7号、リールはトーナメント3000LBD、アストロングレイトの道糸とタフロンのハリスは共に2号〜2.5号、針はイセアマタイプの6号前後。

50cmオーバーなら竿は2号〜3号、リールは4000LBC、道糸とハリスは3号〜5号、針はグレ針の6〜9号。

穂先の繊細なガイド竿も本流でのアタリを取るのに有効な手段ではあるのですが、私が使用しているのは常にインターライン竿。

複雑な潮の流れの中では糸の送り出しや巻き戻しの繰り返しが、仕掛けを自在に流そうとした場合の一番大きなポイントです。

それを可能にしてくれたのが、メガドライ加工のインターライン竿。
穂先を振らなくても、オープンベールにして竿を動かすだけで難なく糸が出てゆくのですから、本当に道糸の送り出しはバツグンです。
またアタリは道糸に直接反応し、それがすぐさま手元にスムーズに伝わってくるのも大きな魅力の一つだからです。

仕掛けについては基本的には軽いほうが有効なのですが、複雑な潮流の中では仕掛けが狙ったタナに馴染むような工夫をするために、多くの場合ハリスにガン玉を打つことを余儀なくされます。

ガン玉はジンタンの6号〜1号、それとB、BB、0.8号、1匁を常備、それに合わせてウキもF〜1号と幅広く持参しています。

サシエについては、生のオキアミは基本的にオキアミの形そのままを身を刺さず皮に沿って刺します

ボイルの場合は、身の中心に針を刺すことがコツ。

マキエはまったく潰さない状態で使用します。
釣り上げた尾長のお腹の中を調べてもらえば判る事なのですが、ほとんどの場合が形の整ったオキアミを食べている、という理由からです。


次に仕掛けの馴染ませ方です。

複雑で勢いの強い流れの中では、馴染もうとする仕掛けは時にはこちらの想像以上の動きをしているものです。

そのため必然的に狙ったタナや潮の中へ素直に仕掛けを馴染ませるような努力を強いられてしまいます。

一番厄介なのは湧き上がる潮とヨレる潮。
最初に仕掛けを入ようとするポイントの読みも重要な要素です。

最初の仕掛けを入れようとするポイントの選択なのですが、マキエを撒き、流れ、集まり、素直に沈んでゆく場所を探します。

そういった場所に仕掛けを入れ、流し、馴染み具合いを判断してゆくのですが、全体の流れが強ければ、ハリスにガン玉を打つ事でより馴染み易くなる場合も多いものです。

道糸は少しウキの流れを抑えるようにしながら、ウキが流れた後の上潮の流れに上手に乗せてやる事も重要なテクニックです。

複雑な潮流を釣る場合には特に、"道糸は第二のウキ"なのです。

一度で旨く馴染まなければ、二度、三度と繰り返し流れ具合いに応じた道糸の送り加減やポイントの選択を強いられますが、何度か繰り返す事で仕掛けは次第に自分の思ったように馴染ませる事ができるようになるものです。

要は、根気と粘りと工夫の連続なのですがー。
どうしてもしっくりゆかない時や、思った以上に流れの押しが強い時などには、ガン玉の重さや打つ位置を変えてみたり、一個を二個、三個と段打ちすることも有効な手段となります。と同時に、時には道糸を必要以上に張って、馴染ませようとする潮の選別をすることも重要です。

仕掛けが馴染んだ、馴染まない、の判断をする場合、私が常に実践しているのが、"ジャストゼロ"。

流れのない場所で仕掛けが馴染んだ状態でウキが海面丁度にしておきます。

基本仕掛けはハリスの真ん中にガン玉Bを一個、使用するウキはB。
きちんと仕掛けが馴染めば、ウキの浮き具合いで判断できるので、非常に判り易い方法です。

この仕掛けは実は流れの複雑な場所ほど応用が効くのです。

仕掛けがきちんと馴染めばウキの状態は海面丁度か少し沈み加減になります。
馴染みの状態が悪ければ、ウキの動きが落ち着かない状態の不安定なまま少し浮いているか、その反対に変な方向に引っ張られようとしながらどんどんと沈んでしまいます。

ハリスにかかる潮の抵抗がウキに直接伝わるのですから、仕掛けの馴染み具合いをウキである程度判断できる非常に有効な方法なのです。これが私の "ジャストゼロ釣法" 、その効用のほどぜひ一度試していただけたら、と思います。


次に仕掛けの流し方です。

道糸の送り加減は、張らず、緩めず、が基本です。

ところが現場では風や複雑に変化する表層流などで道糸が思わぬ抵抗を受け、なかなか思いどうりには流せないのが現状です。

せっかく馴染んだ仕掛けも道糸に受ける変な力によってすべてがパー、といったことが多いものです。
仕掛けの流れるコースがずれるばかりか、変な馴染み方のまま滑ってしまい、とても自然な状態で流す事ができません。
これでは魚もサシエには見向きもしてくれません。

流し方が実は仕掛けの馴染ませ方よりもずっと重要なのですが、これにもちょっとしたコツがあるのです。

前記したように、 "道糸を第二のウキ"として利用するのです。

まずは仕掛けを馴染ませ、馴染んだ仕掛けは潮に噛み付いてどんどん流れてゆこうとします。
次にウキが流れた後のコースの上潮に道糸を噛ませます。

表層流の動き具合いを観察しながらの操作を要求されますが、仕掛けと道糸をきちんと潮に噛み付かせることができれば、仕掛け全体は流れ本来の自然なコースに乗って流れてゆく場合が多いものです。

複雑に変化している表層流に道糸を乗せれば仕掛けの流れ具合いを妨げる場合も多いのですが、そんな場合には道糸をどの表層流に乗せるかの選択を強いられます。

常に複雑に変化してゆく海面の流れのシワを観察することも、ウキの流れ具合いと同様に、非常に大切なことなのでこれからの釣りで少し意識されれば、仕掛けは自分の思ったとうりに結構素直に流すことができるようになるものです。

―でその時の道糸の送り出し加減がいかに大切なのか、という事も同時に感じていただけるでしょう。

キーポイントは、ウキから下の馴染んだ仕掛けを起点としてその後の道糸を上潮にきちんと乗せれるかどうか、とリールからの道糸の送り出し加減、この二点なのです。


次にマキエの撒き方です。

絶え間なく、が基本です。

尾長はマキエを拾うスピードが非常に速く、かつ貪欲な魚だと思っています。

そのため、特にマキエの切れ目は縁の切れ目。絶えずパラパラと撒いてやる事が大切です。

マキエとサシエを直接合わようとするのではなく、撒いたマキエにサシエを合わせてゆく、といった方法が一番有効です。

一度のドカ撒きではなく、パラパラ撒きの中で、狙ったポイント近くへは時には少し多いマキエを入れる、マキエを撒く量の変化、行動範囲の広いスピードのある魚にはこれが一番のコツなのです。

アタリは最近の尾長は結構渋くなりました。潮の加減かもしれません。
マキエに慣れたのかもしれません。それとも釣り人のエサだということを認識し始めて警戒しているのかもしれません。

けれどいずれにしても、"ジャストゼロ"の状態のウキが落ち着いてブレない状態になり、その後ゆっくりと沈んでゆき、一ヒロ弱くらい沈んだ後にヒットする場合が多いものです。

潮に敏感に反応している魚は割合いヒットする前の状態が、釣り人特有が持ち合わせている第六感で判断できるものです。

ヒットした瞬間は、それまでのウキの動きからは想像もできないくらいの強い衝撃です。
大アワセで一度先手を取るくらいの気持ちで待ち構えていなければ、もう調子に乗って元気一杯に走り回り、釣り人をうろたえさせてしまいます。

同時に飲まれてプッツンなどという事もしょっちゅうです。
そればかりか上あごが結構堅いので、手前へ寄せてからの痛恨の針はずれ、などというトラブルも起ってしまいます。
油断も隙もない魚なので、とにかく先手必勝、なのです。

やり取りについては、最初の一撃の後の興奮状態をなだめてやれば、後はもう怒らせないようにゆっくりと竿で泳がせるようにして寄せてくる、の一言に尽きます。

そのためには竿の胴全体に魚の力を乗せ、ゆっくりとそのままの状態を保ち、慌てないような竿さばきを心がければ本当に尾長という魚はおとなしくなるものです。

少しの経験と慣れを必要としますが、要は尾長を怒らせないように、また必要以上に刺激しないようにする事です。

強引に引っ張れば魚もまた引っ張り返す、これは人間社会でも同じ理屈なのですが、まあ体験しなくては理解できないことかもしれませんが尾長とのやり取りは結構スリリングな部分とかけひきが混ざり合って面白いモノですよ。

季節はまさしく尾長の絶好のシーズンに突入します。

小さい梅雨グレも面白いし、アユ釣りも面白いのですが、5月下旬から7月一杯、水温では20度から28度くらいまでの間は磯での尾長釣りが何といっても一番です。

グレ釣りは何も寒グレばかりではありません。釣っても食べても最高のこれから旬を向かえる尾長グレ。尾長釣りのそんな魅力を一度味わったなら、多分誰しも間違いなくその虜になる、とは思っているのですが、、、、。