ジャストゼロ釣法 その1


最近グレ釣りが非常に面白くなってきました。それまでも勿論面白かったのですが、けれども現在の面白さは今まで以上なのです。
最近私が実践している "ジャストゼロ釣法" その威力たるや絶大で、そのおかげか只今絶好調。(自我自賛は嫌われますが、どうかお許しをー。)
そんな訳で毎週釣り場へ出かけては、恍惚に浸る日々が続いています。

今何故グレ釣りにそんなに面白さを感じているのかといえば、一番には一匹のグレと出逢うまでの過程が、"ジャストゼロ釣法" により偶然性からより必然性の高い釣りへと変わった事が挙げられます。

極端に言えば、以前はまずは釣れるような方法を仕掛け、その結果グレを釣り上げる、といった釣り方だったのですが、現在ではこちらから計算を組み立て、より釣れるべくして釣り上げる、という方法に変わってきたからなのですがー。


私の方法論はともかくとして、近年のグレがマキエを食べている様子、何か変だと思いませんか?

かつてのような、マキエに群がり "我先にー" とばかりの元気はつらつとしてキビキビとした "上下8の字動き" というのはもうめったに見られなくなりました。

最近では、いつまでもマキエの中をゆっくりと "横8の字" のように動きながら拾い食いをしているグレの姿。潮か何かが大きく変化したのでしょうか?

私が時たま出かける鳴門の波止。
マキエを撒けばグレはわんさと集まります。ウキ下一ヒロでもうそれこそ入れ食い状態、−というのが以前の状況でした。
ところがここでも磯のグレと同じようにマキエには集まるのですがその後がいけません。

マキエの中でエサトリである多くのオセンと一緒になって拾い食いをしているのです。
海面近くからゆっくりと沈むエサに同調するようなエサの拾い方。
さらに厄介なのは、まだマキエが残っているにも関わらず、食べるだけ食べたら自分の都合だけですぐに "アバヨ" とでも言うようにサヨナラしてしまう始末。(コラー!ええ加減にせんかい。などと思わず叫んでみたくもなるほどです。)

さらにアタリなどは、当然ながらモゾモゾとした独特の居食い状態。潮の流れの緩やかで変化の少ない波止で、ましてやそれほどスレていないグレですらこんな状況なのですから、潮の流れが複雑な磯でのグレとの対決にはさらに苦労させられてしまいます。

グレがマキエに狂ったように反応していた光景、何故か最近ではあまり見られなくなってしまいました。
そのためかウキが勢いよく海面の中へ消える、などという光景もすっかり味わえなくなってしまって久しいのですが、こんな光景は残念ながら今や波止でも味わえる機会が少なくなってしまったのです。

そこで、グレのマキエに対する反応やその動きが変わったならどう対処するか?

この命題に対して答えを出すのに私はかなりの時間を要してしまいましたが、その答えは実に簡単な事でした。

グレの反応が変わったなら、それまでのグレ釣りの方法を変えてやれば良い、たったそれだけの事だったのです。

さらには大きく潮の状況が変化したなら、変化した潮に馴染むような仕掛けで望めば良かったのです。

最近私が釣果を上げている "ジャストゼロ釣法"、その発想は誰でもが考えうるような至極単純なきっかけからでした。

こんな簡単な事が最初のスタートとなった訳ですが、まず出だしの対応策として考えたのはいわゆる "グレ釣りの基本" に帰ることでした。

「基本一」 グレは磯魚の中ではもっとも潮に敏感に反応する魚の部類です。マキエに対する反応は変化しても、潮に敏感に反応して動くその習性まで変化はしないだろう、という事でした。"グレ釣りはいわば潮を釣る釣り" です。グレが好んで就餌するそのポイントの大半は、"集合し潜り込む潮。" なのですから。

「基本二」 魚釣りはタナ取りが重要です。魚の就餌し易いタナが必ずあるものです。

「基本三」 マキエを撒く量とその回数。グレのその動きはともかくも、グレはマキエに敏感に反応しています。マキエにはまずはエサ盗りを集めるマキエ、次にはグレを集めるマキエ、そうして最終にはグレを釣るためのマキエ、―とそれぞれの役割を担った三つの撒き分けが必要なのです。

「基本四」 マキエとサシエの同調。特にサシエがマキエの中を自然な状態で沈み流れることがキーポイントとなってきます。
以上の四つはいわば"グレ釣りノウハウの四天王"的な教訓で、やはりどんなにグレ釣りの方法が変わろうとも、基本抜きでグレと出会おうとする事は非常に難しいのです。

そうしてこれらの基本の組み合わせから "ジャストゼロ釣法" はスタートしたのです。


それでは "ジャストゼロ釣法"の詳細です。

基本仕掛けの持つ意味
<タナの設定>

前記したように最近のグレのマキエに対する反応は "横8の字動き" がほとんどで、さらにはマキエに群がってはマキエの沈み具合に合わせるようにゆっくりと移動しながら就餌しています。

最初にマキエに群がるタナは、状況にもよりますが磯では大体二〜三ヒロ前後。それからエサを追って一〜二ヒロ前後エサに就いて沈んでゆく状況が多いようです。

そのためのタナ取りの対策として、ハリスを3ヒロ前後にさらに遊動部分を一ヒロ前後。

以前には一度釣れ始めたグレのタナにそれほどの変化はなかったのですが、最近ではタナの変化に非常に苦労させられていました。現状のグレ釣りにおいてのタナの設定には、ある程度の幅が必要だったのです。

この発想は「基本二」のタナ取りの重要性からの応用となった訳です。

現在のグレ釣りで以前より大きく変化したのは、まずはグレの就餌するタナの変化だったのです。

グレの就餌するであろうタナに仕掛けを半遊動させることでサシエを合わせてゆく、これはいわばタナ合わせにおける "ジャストゼロ" 調整 。

グレの就餌するタナがいったい何処なのかもわからないままの全遊動仕掛けも、以前はそれなりの効力を発揮したのですが、潮の大きな流れの変化なのでしょうか、今やもう効率が悪くて仕方ありません。もう現在の私の実釣では、全遊動仕掛けはチヌやマダイ狙い以外には全く使用しなくなりました。


<ガン玉の選択とウキの浮力設定>

基本仕掛けとして、ガン玉はBを使用する事が多くなりました。

その理由は次の二点です。
まずは半遊動部分をきちんとこちらの狙ったタナまでゆっくりと沈める役目、さらにはハリス全体の仕掛けをしっかりと潮に馴染ませる役目。

最近の潮の変化は一見すると何気ないようなのですが上潮と中潮の動きが違うことなどしょっちゅうです。

「基本四」のマキエとサシエの同調などといっても最近の潮の流れ具合では、軽い仕掛けではサシエが同調しない場合が多いのです。けれどもハリスに打ったガン玉一個の威力はスゴイもので、仕掛けの馴染み具合やサシエの落ち着く場所がたったガン玉一個のおかげで随分と変わる事が多いのです。

ところでガン玉B以外にジンタン2号やBB、あるいは3Bといったガン玉の使用についてなのですが、これは状況により使い分けが必要となってきます。
潮全体の動きに応じて仕掛けの馴染み具合を判断しながら選択をするのですが、ガン玉までの仕掛けがゆっくりと潮に馴染み、それから半遊動部分がゆっくりと馴染んでゆく程度の重さのガン玉、これがベストです。

まずはハリスまでのガン玉が馴染み、そうしてその後ゆっくりとガン玉から下のハリスと同調するように半遊動部分が馴染んでゆく、これが理想的だと思えるのです。

そのためにはガン玉の重さ如何に関わらず、仕掛け全体の馴染み具合を判断しながらハリスに打ったガン玉の位置を、時には上下に調節してやる事も必要となってくるのですがー。

―という理由から私が現在一番使い易いと感じているのはBなのです。

ウキの浮力設定についてはガン玉を打った状態、そうして仕掛けがきちんと馴染んだ状態で海面丁度、 "ジャストゼロ" (しぶしぶとも言いますが、)にしてやります。私はこの状態にする事を "仕掛け合わせ" と呼んでおりますがー。

ウキが必要以上に浮いていれば魚のアタリがどうのよりもまずはウキの流れるコースが違ってきます。

ウキそのものが潮本来の流れから外れ易くなればウキから下の仕掛けも当然ながら影響を受けてしまいます。
反対にウキそのものが沈んでゆくようだとタナ取りがボケてしまう恐れがでてきます。

そのためにはまずは "仕掛け合わせ" を行い、浮かず沈まずの調整が必要なのです。
ウキの浮力を打っているガン玉の負荷に合わせて "ジャストゼロ" にする、"ジャストゼロ釣法" のこれがまずは基本であり、スタートであり、一番のコツなのです。

そのことがどれほど重大な意味を持つかは次の実践方法の解説で説明しましょう。


"ジャストゼロ釣法" の実践


まず重要なのは釣ろうとするポイントの選択なのですが、潮が一番変化している狙いをつけたポイントの絞り込み。ポイントを定めた後にはエサ盗りとグレを集めるためのマキエ、さらにはグレを釣るためのマキエの撒き分けです。コンスタントに、継続して、間断なく行うことから始めます。

マキエはグレ釣りのいわば "商売道具の元手" なのですから。

次にはグレが就餌しているであろう "集合し潜り込む潮" に、マキエとサシエを同調させながら、仕掛けを自然な状態で入れることができるかどうか、ということが重要なキーポイントとなります。

そのための一つの方法としてガン玉の存在意義があるのです。

以前よく行っていた自慢の "闘魂ウキF" でのガン玉なしの完全フカセ仕掛け、何故か最近では潮の状態の変化からか仕掛けの馴染み具合がもう一つ。

潮の状態が上と下で違う場合、湧き潮、ヨレ潮などの状況下では、仕掛けの馴染みが非常に悪くなってしまうばかりか、時としてサシエはとんでもない場所へ流れていったりもするのです。

要はハリス全体をいかに "集合し潜り込む潮" に馴染ませることができるか、なのですがこれを優先させるためにはハリスに打つガン玉の存在は大変大きな意味を持ってくるのです。―と同時に、ガン玉を打つその位置を少し変えただけでも、馴染む、馴染まない、が大きく違ってきます。

そのためBのウキを使用する場合、あらかじめ潮の変化のない場所で海面丁度になる "ジャストゼロ" の調節を行います。

この調節を行うことで湧く潮や潜る潮をつかまえ易くするのです。
ガン玉を付けた状態での "ジャストゼロ" の仕掛けは間違いなく潮に馴染み易くなります。"完全フカセ仕掛け0" よりもです。

そこでガン玉を打つ位置を状況に応じて変化させ、ハリス全体をまずは自然に流れる潮に馴染ませようとすることから始めます。
その後ウキがハリスに引かれ自然に潜ってゆくポイントかどうか、という事を優先させます。

"ジャストゼロ" の仕掛けは "集合し潜る潮" をつかまえれば、ウキが引かれてある程度は沈んでゆきます。

反対に、湧きの潮の場合にはウキが不思議と "ジャストゼロ" にならないのです。

その判断はウキの浮き具加減や流れ加減を見れば一目瞭然なのです。(実はこれこそが "完全フカセ仕掛け0" との決定的な違いだったのです。)

仕掛けが馴染み、潜る潮をつかまえればウキはある程度沈んでゆきます。
ここからが重要なのですが、沈み流れている状態でのウキは、アユの友釣りでいえば目印です。
そうしてサシエはオトリです。

道糸を張らず緩めずの感覚で仕掛けを流れるがままに慎重に、そうして丁寧に送り込んでゆく操作を行っていれば、その後にアタリは突然襲ってくるのです。

ここで注意点を一つ。
ウキが沈んだからといって道糸を張って流れるコースを変化させたり、の操作だけは禁物です。
せっかく潮に馴染んだ仕掛けを変に動かす事で "集合し潜り込む潮" からずれてしまう恐れがあるからです。

また状況にもよりますが、必要以上に道糸を海面のウキの流れを妨げるような上潮に乗せない、という事も重要なこととして付け加えておきましょう。

次にタナ取りの注意点。タナ合わせ調整の大半は半遊動部分で行います。

ウキ止めまでの長さはだいたい一ヒロ前後なのですが、竿先で遊動させずに止める、緩める、の繰り返しを行います。

これはウキを流しながらの操作なのですが、(少しの慣れが必要とされますが) 慣れればそう難しい操作ではありません。

この操作を非常にやり易くしてくれたのが、今秋発売されるダイワのインターライン竿メガドライ(MEGADRY)

それまでのインターライン竿からは驚くほどの急激な進化を見せ、コントロール性能ばかりか糸の送り出しがバツグンになりました。竿内部の水をも吹き飛ばすような驚くほどの超撥水処理。このおかげで道糸の送り出し加減の微調整のできるラインコントロールが可能となったのです。

道糸を何のストレスもなく、釣り手側の操作どうりに忠実に、そうしてスムーズに送り出せる竿、竿先にただ集中するだけでライン操作が簡単に行える、インターライン竿の凄い進化です。

今想えば、この竿のおかげで現在の私の "ジャストゼロ釣法" が可能になったのかもしれませんがー。

この竿で、そうしてこの釣り方で威力を揮し始めたのが2000年初旬の日振島。35cm前後のグレ25匹を皮切りに、私の "ジャストゼロ釣法" はスタートしました。

―で結局のところ、グレ釣りは潮を釣る釣りだったのですが、―と同時に釣り人側の計算で組み立ててゆくゲームフィッシングでもあったのです。まあそんな事はともかくも、グレ釣り、バンザイ!そうして皆さんも楽しいグレ釣りをー!