ジャストゼロ釣法 その2


最近のグレ釣りは確実に変化し始めました。

これは近年の釣り場における潮全体の流れの影響が多分に関係している、と思われるのですが、かつて味わったようなスパッとした小気味良いアタリ、さらには向こう合わせで引っ張り込むようなアタリなども非常に少なくなりました。
かつてのグレ釣りの醍醐味だった、アタリの豪快さや鮮明さを味わう機会が少なくなった事は寂しい限りです。

けれどもその反面、それまで以上に工夫を強いられ、その結果、こちらから仕掛けてゆくグレ釣りの面白さ、というものが釣り手側に、それまでとは違った非常に楽しい想いを与えてくれ始めたのも事実なのです。

来るべき21世紀のグレ釣り、その対処方法の一番大きな要因は、実は潮流の変化からのグレの就餌変化そのものに在ったのです。

グレの就餌変化で最初に顕著に現れ始めたのは、まずはグレが就餌するそのタナの変化でした。

かつては三ヒロなら三ヒロでコンスタントに釣れたグレも、最近では三ヒロで釣れたかと思えば次は五ヒロで釣れたりと、そのタナの変化にかなりの幅が出てきました。

また以前では考えられなかったような、ウキ下七ヒロ前後で入れ食い、などという状況に出くわすという現象にも何度か出遭いました。

こんな現象が生じ始めたのはここ数年なのですが、そのための対策として、ある時には "沈め探り釣り" だったり、またある時は "0スルスル" だったり、といった対処方法も考え出されました。―が、そのいずれの方法も一時的にはそれなりに効果が上がり、必要条件だけは取り敢えず満たされたような方法だったのですが、けれども十分条件を満たすまでの効果には至らなかったことは否めません。

それはグレ釣りにおけるタナの設定の曖昧さをそのままにしていた事が一番の弱点だったと思われるのです。


振り返ればグレ釣りは昔からゲームフィッシングだったのです。潮を読み、マキエで寄せ、浮かせて、就餌し易いタナをこちらからその都度設定して、マキエとサシエを同調させながら釣ってゆく、という一連の頭脳ゲーム。

この基本こそがグレ釣りの持つ最大の魅力であった筈なのです。

そこで、グレ釣りの基本を再び考え直し、−と同時に最近のグレの就餌性を観察し直した結果から私の "ジャストゼロ釣法" はスタートしました。

タナの変化に対応するためには、まずはグレのエサに対するその動きを観察しなければなりません。

撒いたマキエに群がり始めたグレのその動きは、かつてのようなきびきびと縦に上下運動をするような "縦8ノ字" 動きから、流れ沈んでゆくエサを追いながらのゆっくりとした "横8ノ字" 動きへと変化している状況が多くなりました。

マキエを拾う動きにはかつてのような俊敏な動きはあまり見られません。

このグレのエサを拾う動きの違いこそが実はグレ釣りにおけるタナの変化の一番大きな要因だったのです。

流れ沈んでゆくエサをいつまでも追いながら就餌するグレの姿。
そればかりか、食べ易いポイントでしか就餌しないグレの勝手さ。
これこそが以前のグレ釣りからは大きく変わった二点だったのです。

グレの就餌してくれるタナと就餌し易いポイント、この二点に的を絞り、その対処法として考え出したのが、ガン玉を使用する事による "ジャストゼロ" の発想でした。

グレの就餌してくれるタナとは、三ヒロ〜五ヒロというようなある程度幅のあるタナ。
グレの就餌し易いポイントとは、"集合し潜り込む潮" 。

この二点をきちんと抑えようとした釣り方が現在のところ、私の最も得意とする最新最強の "ジャストゼロ釣法" なのです。


"ジャストゼロ釣法" の解説

仕掛けについて

基本仕掛けは "闘魂ウキB" にガン玉B一個。ハリスは三ヒロに半遊動部分を一ヒロ前後取り、ガン玉はハリスの中間に一個打つ事からスタートします。(仕掛け図はダイワ精工のHPの今月の釣りの私のコーナーに掲載してあります。)

この仕掛けはハリスに打つガン玉の位置を状況に応じて変えれば、二ヒロから四ヒロ前後までのグレの就餌するタナに十分対応することができます。(5ヒロくらいまでのタナを探ろうと思えば、半遊動部分を二ヒロにすればよい。)

その時に必要な作業は、仕掛けの馴染ませ具合や半遊動部分を竿先でコントロールしてやる事。
これは少しの慣れを必要とされますが、慣れればそう難しい作業ではありません。

この基本仕掛けを海面に入れ、仕掛けがウキ止めまできちんと馴染めば、ウキの頭は海面丁度(ジャストゼロ)になりますが、実はこれこそがこの釣法の一番のキーポイントなのです。

ウキの浮力を必要以上に浮かせていれば、ウキの自然に流れようとするコースがズレてしまう場合が多くなります。

そればかりかウキから下のハリスの馴染み具合の様子もきちんとウキに伝わりません。
仕掛けが馴染む、馴染まないを的確に判断するためには、ハリス全体、そうして仕掛け全体が馴染んだ後のウキの状態が、"ジャストゼロ" でなくてはならないのです。(ウキの調整は潮流の影響を全く受けない場所でおこなう必要があります。)


"ジャストゼロ仕掛け" のガン玉の持つ効用

ガン玉を使用するのは、半遊動部分をきちんとこちらの狙ったタナまでゆっくりと沈めるのが、まずは最大の役目です。

タナの変化に合わせた釣りを行おうとする場合には、非常に有効な小道具なのです。
―と同時に、ハリス全体を馴染ませ易く、そうしてサシエを安定させる役割をも担っています。

最近の潮の変化は一見すると何気ないようなのですが、上潮と中潮さらには下潮の動きが違う事などしょっちゅうです。

軽い仕掛けでは、マキエとサシエが同調しない場合も多く、たった一個のガン玉を打っただけでも、仕掛けの馴染み具合やサシエの落ち着く場所が随分と変わってしまいます。

さらにはハリスに打つガン玉のその位置を少し変えただけでも、ハリス全体の馴染み方やサシエの流れ方が大きく違ってくるのです。

ガン玉の効用は、まずはグレの就餌するであろうタナに仕掛けをきちんと馴染ませ易くするばかりか、さらにはサシエを自然に送り込んでゆく役目、そうして半遊動を利用してタナをきちんと探ってゆく役目も担っているのです。

これはタナ合わせにおけるいわば "ジャストゼロ" の調整です。

ところで使用するガン玉のその重さの選択基準。

私はまずはBを基本としていますが、潮の複雑に動いている場所ではBB、あるいは3B、といったガン玉の選択も時として必要に迫られます。

―と同時に、一個打ちか段打ちかの選別、さらにはハリスに打つ位置の調節、こだわり始めれば結構その選択範囲や調節範囲は多いものです。

その選択範囲や調節範囲の目安として一番重要視しているのは、ハリス部分のみならず、半遊動部分の仕掛けが、潮の流れ具合や動き具合に応じてゆっくりと馴染み沈んでゆくような状況になるような仕掛けの馴染み具合、を優先させているのはいうまでもないことです。

もう少し詳しく書けば、ガン玉までの仕掛けがまずはゆっくりと潮に馴染み、そうしてその後ゆっくりとガン玉から下のハリスと同調するように半遊動部分が馴染んでゆく、そんな状況になるようなガン玉の選択と使用が理想なのです。

あらかじめ設定し狙っているタナの幅を、ゆっくりとサシエが沈み流れてゆくような演出をおこなうためには状況に応じたガン玉の選択、そうしてそれを打つ位置の重要性、 "ジャストゼロ釣法" を実践する上において、ガン玉は非常に大きな役割を担っているのです。


"ジャストゼロ仕掛け" からの潮読み

ガン玉Bを一個使用した場合には、仕掛けを入れ、半遊動部分が動いている間はウキの浮力は海面から少し浮いたB負荷の残存浮力が残されています。きちんと馴染めばウキの頭は海面スレスレの "ジャストゼロ" 。この両者の違いは一目瞭然です。(実はこれが "完全フカセ0" との大きな違いだったのです。)

ところが仕掛けがウキ止めまできちんと馴染めばウキは海面丁度になるはずなのですが、何せ相手は生きている海。
ましてやグレを釣ろうとしている海ですから、これがなかなかこちらの都合どうりにゆかない場合が多いものです。

仕掛けが馴染まなければ、Bのガン玉一個程度ではなかなか一ヒロ程度の半遊動部分でさえも動いてくれないものなのです。

こんな状況下では、底潮の変化は少し湧き上がっている、と判断できます。
反対に仕掛けがすぐに馴染み、半遊動のウキ止めまで簡単に移動するようなら、メリハリのない潮かもしくは少し潜り込む潮に仕掛けが馴染んだ、という判断ができます。

また馴染んだものの、ウキが徐々に海面の中へ潜り始めるようなケース。
こんな状況下では二つの事が考えられます。
一つはハリスのどこかに複雑な横潮の影響を受けて、仕掛け全体が変な方向に引っ張られている状況。
もう一つは全体の潮が勢いよく混ざり合っている状況。

いずれの場合もウキの必要以上の潜り過ぎは良くない場合が多いようです。

そうした場合、ガン玉の位置を少し上下に移動させるだけで、仕掛け全体の馴染み具合が大きく変化する事が多いものです。

何度か試してみてどうしても馴染み具合が変な場合は、前記したようなポイントは早々に諦めて、少し違ったポイント狙いに切り替えることも必要です。

それではどういった状況が一番良いのかといえば、グレの就餌ポイントである "集合し潜り込む潮" を捉えれば、ウキは半遊動のウキ止めまでゆっくりと移動し、ウキが "ジャストゼロ" になってしばらくした後、少し海面下へ沈んだ状態のままでゆっくりと横へ移動してゆきます。

仕掛けが素直に馴染み、その後潜る潮を捉えた状態になっているのでしょう。
グレがアタッてくるのはだいたいこんな状態の時が多いのです。

"ジャストゼロ仕掛け" は、タナの幅を釣るばかりか、ガン玉を利用して仕掛けを馴染ませ易くするのと同時に、海面下の潮の動きをきちんと捉え、釣り手側に正確な状況伝達をおこなってくれる仕掛けなのです。


"ジャストゼロ釣法" の実践

"ジャストゼロ釣法" はまずはタナの幅を探る釣り方です。

最初は三ヒロ程度とったハリスの一番上(サシエから一番離れた位置)にガン玉を打ちます。

仕掛けを入れ、ガン玉から下のサシエまでのハリス全体をゆっくりと馴染ませる事からスタートします。

まずは三ヒロまでのタナを探るのです。

いきなり半遊動部分の仕掛けを潮に馴染ませる必要はありません。
少し竿先で道糸を抑えておけばよいのです。

その場合、ウキはガン玉の沈みに応じて徐々に手前へ寄ってくるのですが、これこそが実はサシエからウキまでをガン玉の効用でゆっくりと張ってくれる役目をしてくれているのです。(その操作に慣れていなければ、ウキ止めをウキの頭に固定して半遊動部分をなくせばよいのですが、少しだけの半遊動にするのがおすすめです。)

その後に半遊動部分を移動させて一ヒロ前後のタナを探ってゆきます。

こうする事によって、その日のグレの就餌するタナがたとえ二ヒロであったとしても全く問題なく釣り上げる事ができます。(もうすでに私が何度も実証済みです。)

釣っていて、マキエを撒く量は時間の経過と共に増えてゆく場合が多いものですが、それでなくても最近のグレはマキエに就いて徐々に沈んでゆくパターンが多いので、二ヒロで釣れていたタナがいつしか三ヒロや四ヒロになったりする場合も多くなります。

釣れるタナが少し深くなれば、ハリスのガン玉を少し下に移動させます。

タナが深くなれば、仕掛けの馴染みが、と同時にサシエが安定しない、という理由からです。

この作業は少しの思考錯誤を要求されますが、海面に馴染んだウキのその動く状態を凝視していれば、おおよその判断はできるものです。

落ち着かない潮の場合は、ウキから下の仕掛けの動く状態がウキにきちんと伝わって、ウキは全体が不安定な動きを見せます。

湧き上がる潮の場合はウキが浮き加減、全体が混ざり合ったり複雑にうごめく潮ならフラフラとしながら海中へ、といった具合です。

マキエの撒き方については、タナが浅い場合はサシエ近くに、そうしてあまり広げないような直接撒きをおこないます。

回数は連続撒きで二〜三回程度。タナが深くなるにしたがい、マキエを撒く位置をどんどん仕掛けの潮上へとずらせてゆきます。

一回の撒く量は少なくし、けれども回数は増やします。

撒くのは広がるように、が原則です。

撒いたマキエと沈み流れてゆくサシエをできる限り長く広い範囲で同調させようとするためには、釣れるタナによるマキエワークを状況に応じて変化させてゆく事が、非常に有効な方法だからです。

グレの就餌するタナは、マキエの量や潮の変化で敏感に変わってゆきます。

その敏感に変わってゆくタナをマキエの撒き分け方や、仕掛けの変化、さらには操作方法の変化で釣ってゆくのが面白いのです。

そのために考え出したのが "ジャストゼロ釣法" なのです。

その釣り方は慣れれば一連の動作やその操作といった作業はそうそう難しくはありません。

フカセ釣りの基本である、仕掛けを自然な状態で流し沈めてゆく、といった操作方法は、道糸は張らず緩めずの感覚で、また仕掛けの送り込みは常にある程度の慎重さと丁寧さでおこなってやることが一番のコツ。

何度も何度も繰り返して、そうして常に意識しながらおこなっていれば、すぐに簡単にマスターできるはずです。

グレ釣りは工夫をすればするほど、また計算すればするほど、釣り手側の努力にきちんと応えてくれる魚なのですから。

再度になるのですが、グレ釣りはゲームフィッシングです。

潮を読み、マキエで寄せ、浮かせて、就餌し易いタナをこちらからその都度設定して、マキエとサシエを同調させながら釣ってゆく、という一連の頭脳ゲーム。

これがグレ釣りの持つ最大の魅力です。

21世紀に向かっての "ジャストゼロ釣法" 、ぜひ参考にしていただき、そうしてグレ釣りがそれまで以上に楽しくなれば幸いです。グレ釣りバンザーイ!