21世紀の磯竿は“5m”が主流になる?


<磯竿の標準規格は5.3m>

磯のグレ釣りにおける竿の長さの標準規格(?)は、いつしか5.3mになったようです。

それがいつの頃から支持され始めたのか、また何故5.3mが主流になったのか、その具体的な理由というのは詳しくはわかりません。

しかしながら、まあ長くもなく、短かくもなく、一番扱い易い手頃な長さ、という事が、支持されている最大の要因なんでしょうか?

ところで私が磯釣りを始めた20数年前はグラスロッドの全盛でした。

グラスはガーボンと違って重いためか、5.3mなどはとても重く感じたものです。そのため、通常使用するのは大多数の人が、長くても4.6mや4.8mといった長さの竿がほとんどだったように記憶しております。

その一昔前の竹竿の時代には、グレ釣りにおいては徳島では三ヒロ物といわれた4.5mが標準規格でした。

その当時から比べれば、現在の竿は細くて、軽くて、それでいて張りが強く、5.3mの長さがいつしか主流となったのは至極自然な流れなんでしょう。

5.3mの竿が主流になり始めたのは、確か私がダイワ精工のテスターとしてメーカーの人々と意見交換をし始めた15年ほど前の事でした。

それまではいくら軽いカーボンロッドとはいえ、まだ4.8mと5.3mを二分する時代だったのです。

まあ竿の長さ変化の簡単な概略なのですが、以来、今日までメーカーからはその時々の新製品を誰よりも早く、また誰よりも多くの種類の竿を使わさせていただく幸運に恵まれました。

当然ながら5.3mが一番使用頻度が高かったことはいうまでもない事なのですがー。

ところが、こんな幸運に恵まれていた私が、15年前から一つだけ我がままを言い続けてきた事がありました。

それは当時からずうっと5mの竿にこだわっていた事なのです。

何故5mなのか、その具体的な理由は後で説明するとして、以来こちらの要望を受け入れてくれたのかどうかはともかくも、アイテム数は少ないものの、5mの竿は発売され続けました。
その間には随分無理も言い続けたようです。(−が、結果はあまり売れなかったようなのですが、、、。)

ったく我がままなテスターなのですが、実際に現場で5.3mと5mの竿を随分と使い比べて比較検討した結果の自分なりの結論だから仕方なかったのです。そうしてそれは今でも相変わらずなのですがー。


<21世紀のグレ釣り竿の標準規格は5m竿>

グレ釣りのタナの変化が最近は非常に激しくなりました。
当然ながら状況にもよりますが、概論として、かつての浅ダナ(二ヒロ前後)で釣れていたグレも、最近では三ヒロ前後と深くなってしまいました。

一ヒロを1.5mとして、5.3mの長さといえば、ハリス三ヒロ半の長さです。

5mの長さは、ハリス三ヒロと50cm。
双方共に通常のグレ釣りにおいては、固定仕掛けにも対応できる何の問題もない長さです。

まあ今や磯では三ヒロの竿(4.5m)を使う人はいませんが、三ヒロきっかりの竿では少し厳しい状況となってしまいました。

グレ釣りにおけるタナの変化の対応には、5.3m竿も5m竿も現実にはほとんど遜色はありません。
5m竿の優位性を理解していただく前のまずは予備知識です。

それでは私が何故5.3m竿でなしに5m竿にこだわり続けるのかというその理由。

一番の大きい理由は、仕掛けの操作性なのです。

一日に幾度となく行なわなければならない、狙ったポイントへ仕掛けを入れる作業から始まり、馴染んだウキを支点としたサシエサを自然に流そうとする時の道糸の操作性。

グレ釣りはこちらから仕掛け、計算しながら組み立ててゆくゲームです。

―と同時に、工夫をすればするほど確実にグレとの出会いも多くなるゲームフィッシングです。

その基本動作は自分の仕掛けをコントロールする事、さらには道糸やサシエサの流れ具合いをもコントロールする事から始まるのです。

フカセ釣りとウキ釣り、どちらも同じような仕掛けかもしれませんが、実は釣り方そのものは全く異なっているのです。

ウキがついている仕掛けでも、グレ釣りはこちらからサシエサを送り込んでゆくフカセ釣りなのですから。

―で問題はこのときの竿の操作性。

たった30cm短いだけなのに格段にやり易いのは断然5mなのです。

これは5.3m竿との比較ですが、一度使い比べてみなければ実感できない事実です。

そのため、5.3m竿を使っていた人が何かのきっかけで5m竿を使用し始めた途端、もう5.3m竿は使えない、といった感覚を持ってしまう人が非常に多いのも、一つの事実として書いておきましょう。

グレ釣りにおいては、竿は操縦竿です。

泳がせ釣りとフカセ釣り、という違いはあるものの、オトリアユをこちらの意のままに泳がせてゆく、といったアユの友釣りがそうであるように、グレ釣りもまたサシエサをこちらの狙ったポイントやタナまで送り届ける釣りなのです。

そのためには竿の操作性がいかに重要なのかはもう周知の事実でしょう。

近年のグレは以前のように、なかなかパッと浮いてパッと食ってくれなくなりました。
根気よく仕掛けを流し、粘り強くサシエサを送り込まなければ食ってくれない、なかなか手強い相手になってしまったのです。

そんな状況の中では、釣り手側にますます仕掛け操作の重要性が要求されてきます。

手早い打ち返しのみならず、サシエサをこちらの意のままにコントロールしながら流すことの大切さ。
操作性を重要視するなら断然5.3mより5m、こんな簡単な理由をみすみす黙って見逃す手はない、と思うのですが、、、。

二番目の理由は、魚の取り込みの楽さ加減です。

これは意外に知られていない事かもしれませんが、長い竿よりは短い竿の方が断然取り込みが早く、楽なのです。

私の息子を小学生から中学生当時によく鳴門の波止へグレ釣りに連れて出かけていた時の事です。

ある年はグレが非常に大きくて、たまたま30cmオーバーが数釣れた時の事なのですが、いつものように息子は4.6mの竿で釣っていました。

けれどもせっかく掛けてもグレ自体が大きいためにバラシの連続です。

たとえ釣り上げても、結構時間がかかり、側でみている私には冷や冷やモノでした。
まだ子供にとっては長過ぎる竿だったのかもしれません。

そう思った私は何故か3.9mというダイワのダイナミック磯という竿を買い与えました。

その3.9mという短い竿を使用し始めた途端に、それまでてこずっていたりバラシていたグレを相手に、まるで自分の意とするままの自在な取り込み方に変わってしまったのには、私も本当に驚きでした。

竿の長さは実は釣り手側に大きな変化をもたらす、という事に初めて気がついたのです。

余談ですが、その年の最大のグレは、長男と次男が36cm、三男に至っては38cm、という自己新記録を打ち立てたのです。

道具の選択は釣りをより楽しくしてくれる、そんな単純な事を子供から教わるなんて思ってもみない事でした。

短い竿はシモリをかわせない、などと言われた時代もありました。
確かに磯際のシモリはやっかいな存在です。けれども掛けた魚を自在にコントロールでき易い竿の方が、実はシモリをかわすのも楽 だったのです。

5.3mと5m、どちらが魚をあしらい易く、シモリをかわし易いのかといえば、断然5m竿。

こんな単純な事実も、使い込まなければ、そうして比較して始めて自分で確認できる事なのですが、失礼ながら釣り人には結構頑固な部分があって、5.3mで何の不自由もなく慣れ親しめば、それ以外の長さの竿については必要としないような保守的(?)な部分があるようですねえ。

道具を腕でカバーする、といった発想も重要な事ですが、最良の道具の選択も腕である、といった発想も必要だとは思われるのですがー。

そんな訳で、取り込みの優位性からいっても5.3m竿よりは断然5mなのです。

三番目の理由は竿の持ち重り感です。

この問題については誰しもが持ち重りの少ない竿を支持している、と思われます。5.3mと5m、どちらの竿がどうかなどという持ち重り感については、もうくどくどと述べる必要はないでしょう。

ところが、近年の私はインターライン竿しか使いません。

けれども従来のガイド竿と比較すれば、インターライン竿はまだまだ持ち重りがしてしまいます。

竿の能力は何も持ち重り感ばかりではないのですが、重いよりは軽い方がベターです。
だから断然5.3mよりは5m竿なのです。


<インターライン竿とガイド竿の簡単な比較について>

ところで、5.3m竿から5m竿の時代になる、という命題に対してどうしても外せない事柄があります。

それは現在の私がインターライン竿のみを使用しているために、当然ながら従来のガイド竿と近年のインターライン竿との簡単な比較をしておかなければなりません。

ガイド竿についての優位性はいろいろありますし、もう30年近くの年月でほぼ完成された竿ですが、インターライン竿についてはまだ発売されてから、たかだか6年余り。

インターライン竿はガイド竿から比べれば、まだはっきりいって発展途上竿(?)なのです。

ガイド竿とインターライン竿、そのどちらもそれぞれの長所と短所を持ち合わせています。またそれぞれの竿の性能や性格も違うため、同じ土俵では語れない部分が多くあります。

そこでまずはインターライン竿。

インターライン竿の最大の欠点は、糸が出にくい、持ち重りがする、穂先のしなやかさがない、この三点でした。

けれどもここ二〜三年の間に、穂先は非常に柔らかくなり、と同時に竿の内部の改善で糸の出具合いも随分と改良されました。

通常使っていて、仕掛けのコントロール性能からアタリを穂先で取るまでの一連の動作も、ようやく何とかストレスを感じないほどにまでなりました。
ーと同時に、持ち重り感も随分と改善されました。

ところが2000年秋に発売された、ダイワ精工のスーパーインターライン竿 "メガドライ"

この竿からインターライン竿はこちらで予期した以上の急激な進化を遂げたのです。

その最大の理由は、内部の水をも弾き飛ばすような超撥水処理のおかげです。

二番目の理由は、穂先の柔らかさの改良と竿全体のバランスの改善。

そのおかげで糸の出具合いはもうバツグンになりました。

一日中使っていれば、そのコンスタントで安定した能力は、もうガイド竿のそれを完全に超えた、といっても過言ではありません。

ガイド竿はリールから穂先ガイドまでの間の道糸が出ているために、風やしぶきの影響をモロに受けてしまいます。

これはカイド竿の致命的(?)な宿命なのですが、インターライン竿はただただ穂先に集中すればよいのです。

慣れればこんなに楽で使い易く、そうして操作性の良い竿はありません。

糸さえ自在に何のストレスもなく出れば、もう鬼に金棒、釣り人にインターライン竿、なのです。

ただ残念ながら釣り人の欲求は思いのほか深く、ガイド竿のような持ち重り感にして欲しいとは願っているのですが、糸が竿の中を通っているインターライン竿についてはどうしても穂先までが太くなってしまう、という致命的(?)な欠点があります。

穂先の繊細さ、アタリの伝達、という問題については、しなやかな穂先でありさえすれば細くなくても全く何の問題もなくなりました。

ダイワに対しては "穂先が竿の命だ!" と言い続けてきた私も、本当によくもこれほどにまでしなやかな穂先にしてくれた、と素直に頭が下がります。

けれども問題はやはり全体の持ち重り感。

この問題はガイド竿に一歩譲るとしても、やはり少しでも持ち重り感の少ない竿がベストです。

けれども、現在の私はインターライン竿以外はとても使う気になれません。
それだからこそ、もっともっと快適に使用できるインターライン竿を望んでいるのです。

インターライン竿を好んで使用するメリットについてはまたの機会に譲るとして、とにかくインターライン竿なら5.3mより遥かに持ち重りの少ない5m。これだけは現在の私のどうしても譲れない部分なのです。

新世紀2001年には、インターライン竿が主流に、と同時に5m竿が主流になる、と信じて疑わない私にとって、新製品の "メガドライ" が、1号、1.2号、1.5号、1.7号、とその竿のアイテムを随分と増やしてくれたことは非常に感謝すべき出来事でした。

インターライン竿のみならず、5mという長さの竿を、一度ぜひ使ってくださることを、自信を持っておすすめしましょう。