口太と尾長の相違点
NO.1


グレ釣りの一番の楽しさは、こちらから計算してマキエを撒き、そうして計算どうりのポイントやタナでこちらの思惑どうりに食わせようとするそのゲーム性にある、とわたしは思っています。
そこで、まずは狙った魚のその習性を知ることが先決だ、と感じたのはもう二十年ほど前のグレ釣りを覚え始めた直後からでした。
それから約十年近くは口太グレがほとんどの釣り場だったため、口太グレに夢中になり、その後の約十年は尾長グレに夢中になってしまい、それは今もなお続いているのですが、、、、。
さて、口太も尾長もその両方ともがグレはグレなのですが、実はそのそれぞれの習性はある状況では非常に似通った類似点と、その反対の全く異なる相違点を持ち合わせていたのです。

相違点として、まずは習性の違いから

(1)撒き餌の拾い方
最近の磯では、グレがマキエサに集まり、狂ったようにエサを拾う光景はあまり見かけなくなりましたが、それでも条件の良い時に注意して見ていれば、時折マキエに集まってくるグレの姿を観察することができます。
口太の動きと尾長の動きは、まずは自分の目でその動くさまを確認することが先決ですが、その動きの違いである程度の区別はつくものです。(残念ながら、20cm前後の小さいグレのその動きはほとんど同じで、少し注意して観察しなければ判らないほどですが。)
その違いが何であるかは端的にいうなら、エサを食べるために動くそのスピードと食い上ってくるその方向(角度)なのです。
具体的に説明を、といえば非常に難しく漠然としている部分もあるのでのでおおまかに書かせて貰うと、口太は割合マキエサに集まるその姿を確認し易いのですが、尾長の場合は不思議なことになかなかはっきりとは確認と認識ができにくいのです。
この動き具合の違いが、実は口太と尾長とを区別する決定的な習性の相違点の入り口だったのです。
尾長の動きはまるで青物のようにスピードが速く、それでいて口太のように上下に反転して食い上がってきます。
ところがその動きのすべてが口太のようにはっきりと確認できるかといえば、非常に確認し辛いため、口太と比べれば始末が悪いのです。
目で確認できる口太はその動き具合を眺めながらそれ相応の食わせるための対策を立てられるのですが、尾長の動きはまるで釣り人のそんな思惑を察知しているかのごとく、それを拒否しているかのようです。
これは多分、エサを拾うそのスピードばかりじゃなく、食い上がってくるその角度と尾長自身の反転する動き具合が口太のそれとは全く異なる、としか説明がつかないのです。
四国の西南部西海町などの口太と尾長の同居している釣り場で、一度それぞれのマキエサに反応する動き具合をゆっくりと観察すれば、その違いは"百聞は一見にしかず。"ですぐさま理解できるでしょう。(尾長の動きは少し慣れないと確認し辛いかもしれませんが、、、、。)
ここで例外を一つ。
潮の状態が悪いとかマキエサに対してグレがあまり反応しなくなった、いわゆる食い渋った場合には、口太も尾長もエサに対する反応は非常に悪くなり、どちらの動きも似通ったモノになる、ということです。
けれどもそんな状態の時の尾長は、口太以上に手強い存在になるということも覚えておいてください。(その理由はこの後に説明します。)

(2)潮に対する感度
潮に対してより敏感な反応を示すのは、口太よりは間違いなしに尾長です。
グレ釣りで外道と呼ばれているイサギ、アイゴ、マダイ、チヌなど海の魚すべては、当然潮に敏感に反応しますが、口太はそれら以上に敏感に反応する、とわたしは思っています。
けれども、尾長の敏感さはその口太以上です。もうそれは尾長の持って生れた基本的に変わらない習性なのかもしれません。
そのため、尾長がひとたび潮が悪くなって食い渋った時ほど厄介な状況はないのです。
口太ならば、ある程度はマキエサで動く場合もあるのですが、尾長となればなかなか一筋縄ではいきません。
食わないとなれば、それこそまるで手の平を返したようにばったりと釣れなくなってしまう場合が多いのですから。
そんな状況下で尾長を狙おうとすれば、口太以上に気を使わされます。
エサの溜まる場所、そのウキ下、仕掛けの流し方、マキエサの撒き方、などなどすべてを丁寧に、そうしてこちらで考え抜いて釣りを組み立ててゆかねばならなくなってくるのです。
居食いはどんな魚でも釣るのが難しくなりますが、尾長の場合は格別なのです。
けれども、口太も尾長もその釣り方にはそれぞれに特徴があって、奥が深く面白いものです。


・・・<この内容は、7月25日発売の 週刊釣りサンデー「磯釣りスペシャル9月号」に掲載されています。「磯スペ9月号」 も御愛読のほど、よろしくお願いいたします。>・・・