高知県久礼磯の大チヌ釣り '2002.4/15-17



いよいよ当日(15日)が来てしまいました。
この日は、“The Fishing” チヌ釣りのロケの日なのです。

午前八時30分、同行の山元隆史君と我が自宅を出発です。
日和はあまり芳しくありません。
高知自動車道へ入る頃には、鉛色の空からはとうとう恐れていた雨が、ポツリポツリと降り始めました。

「日和だけ持ってくれれば・・・・・」 −という淡い期待はものの見事に打ち消され、後はもう海が荒れる事がないように願うだけでした。

大阪のスタッフと途中合流し、身支度を整えて久礼の港へ着いたのは午後2時過ぎ。干潮を一時間ほど過ぎた時刻です。

磯上がりは港を出て左へ15分ほど走ったところに位置する “大黒の地”。
港で乗船する前に降っていた雨も幸い上がり、心配していたウネリもそれほどではありません。

「まあ何とかなりそうだなあ。」 −途端に元気になってしまいます。

春先のチヌ釣りは、別名、 “苦労ダイ”(クロダイではありません) とも呼ばれ、なかなか確実性の少ない類の釣りなのです。
何故なら、日和の変動も激しく、さらには水温変動が激しいため、だからです。

もう少し水温が安定し、チヌも全体的にコンスタントな釣果が上がり始めれば、これほど確実に釣れる釣りはないのですが・・・・。

まあTVの取材ですから好シーズンや日和、さらには日回りによる潮などを選べないところは辛いのですが、・・・・、いやいやとてもそんな事は言ってられませんねえ。とにかくは、Do The Best なのです。


久礼は大チヌ釣り場として有名な場所です。
だいたい釣れるチヌは50cm以上がアベレージサイズ、というから驚きです。
近年は全国的な現象で、各地ともに少し往年よりはサイズダウンしている傾向が見られますが、さてさて今回はどんな大物と出会えるのか楽しみで仕方ありません。

午後3時前から、お互いが期待と不安(?)を胸に抱いて、釣り開始。
竿は私が飛燕1.2号5m、隆史君がメガドライエアー1号5.3mを使用します。
道糸は強さと結節力に定評のあるアストロングレイト2号、ハリスはタフロンZR1.7号、と大物一本に絞っての選択です。

潮はまだ動く気配はありません。時折の大きいウネリには要注意です。
前方は黒潮轟く太平洋。壮大で豪快な海です。

時合いはおそらくは満ち潮5分くらいから。逆算すれば干潮が1時過ぎですから、午後4時過ぎから、と考えました。
春先の太平洋岸では、チヌが動き始め、釣れだすのは、まずは満ち潮、次には満ち潮5分くらいから満潮を過ぎ、下げ潮の2分くらいまでが時合いとなります。

今回の釣行では、15日の初日が午後4時過ぎから、翌日は午前の潮狙いで早朝から4時間あまり、−といった限られた時間内での勝負、となります。長年釣りを行ってきたためか、時合いには敏感なのです。


午後4時過ぎ、久礼磯での初ヒット。
とうとうアタリを捉えました。チヌ(?)特有のコンコンとしたアタリが繊細なガイド竿を通して伝わってきます。

「それにしても強い?」 チヌがこんなにも引くのでしょうか?
飛燕は満月になって未だ見ぬ獲物を引き寄せようとしています。繋ぎ目のVジョイントのスムーズな曲がりとそのしなやかで力強い反発力、ただただ竿をタメているだけで魚の力は竿に吸収されてしまうのですから恐るべき竿です。

ーが残念ながら上がってきたのは期待に反してチヌなんかじゃあなく、サンノジ(ニザダイ)の40cmオーバー。
強いはずでした。−とここで一瞬 “カッグリ”、ときたのは言うまでもありませんでした。

「まあ時合いはこれからだ。その内に絶対にチヌを釣ったるぞォー。」 −と気を取り直してまた釣り始めます。
釣りは釣らなければ釣り番組にならないのですからね。
普段の気楽な釣りも楽しいのですが、今回のようなある意味で追いつめられ、確実に結果を出さなければならない釣りも、皆さんにはあまりわかって貰えないかもしれませんが、結構楽しいモノなんですョ。

私は結構渋とい部類の釣り師なんですが、やっぱり希望は持つモノです。
ーで、またまたヒット。−ん!? 「強い!」 その引きたるや相当なモノ。
グングンと磯際へ突っ込んで来て、さらにはドンドンどんどん潜ろうとしています。「チヌだ!−ん? 、この魚は強すぎる。」
もう必死でした。途中、またまたサンノジかもしれない、と思いながらも、「それにしても強いなあ。」 精一杯にこらえるのが必死でした。

なかなか姿を現しません。こちらも必死なのでしょうが、相手も必死なのでしょう。
その内に、ギラッとイブシ銀が海面近くで光ります。「デカイ!」 今回は紛れもなく大チヌだったのです。
隆史君が素早くタモ入れをしてくれ、まずは1匹。安堵と嬉しさの交錯した至福の時間でした。

それにしてもチヌという魚がこんなにも強く引く魚とは本当に驚きでした。

ーが、私が釣っただけでは番組はまだ半分。隆史君が釣らなければ私の存在感はありません。(一応先輩ですから偉そうに書きましたがー。)
彼とは小学校の頃からの顔見知りで、オヤジである八郎さんにも随分とお世話になっています。
さらには今後の期待の星として活躍して貰わなければならない逸材だからです。

ところがその後すぐさま彼にも大チヌがヒットしました。私の心配や不安はものの見事に書き消されてしまったのです。
ーで、彼の技術は相当なモノだったのです。もう素晴らしい釣り師になっていたんですね。
私にとっても、その嬉しさはひとしおでした。

デカイチヌです。先ほどの私のチヌが51cm、隆史君のも50cmオーバーです。
その情景は下のスナップのとうりです。


「それにしてもここのチヌはよう引くねえ。」 驚きの声は当然ながら隆史君からも上がりました。
沖へ走らず、海中深く突進するような強烈な引きばかりか、海面に浮かして空気を吸ってもまったく弱らない大チヌ。
魚はその引きが強ければ強いほど釣り人を魅了するモノなんですね。いやあ、参った、参った。

豪快なチヌ釣りです。それにしても大胆不適な面構えと胸ビレのその大きさ。
もうその面白さ、たまりませんねえ。


その後、悪天候のウネリに苛まれたものの、今回の釣行では何と50cmオーバーの大チヌがそれぞれ2匹ずつの、なんと計4匹が無事カメラに収まりました。これはスゴイ出来事だ、と思っているのですが、いったいいかがなもんでしょうか?

今回こんな楽しい釣りをさせて貰えたのは、大チヌと、海と、隆史君と、船頭さんと、そうして関係者のスタッフの皆さんのおかげでした。
ただただ、感謝、感謝、です。