日振島のグレ釣り '99/6/13


<激流が走る日振島最西端の名磯、21番と22番磯>


待ちに待った6月13日、”闘魂会”の二回目の交流会は、その名も、“ぐれ釣り親睦会”。場所は愛媛県の日振

徳島県からの参加者8名は、車で片道約280kmの道程です。
岡山県からの5名は、瀬戸大橋経由で約220km、山口県及び広島県からの5名の参加者は、フェリーを乗り継いでの松山経由、さらには、松山からの参加者2名を合わせ、総勢20人が宇和島市の新港へ集まったのは、出船にはまだ二時間以上も早い、午前一時過ぎでした。

“夜討ち朝駆け”、ではないのですが、当然ながら全員の皆さんは、そのほとんどが一睡もしないでの集合となりました。

午前3時30分の出港までの時間は、心地よい潮の香りに包まれた岸壁の港湾灯の周辺で、ゆっくりと準備を整えます。
それを終えた後は、とりとめもない会話でさえも、何故かお互いが心地良くなるから不思議なものです。
お互いのくつろいだ時間は、本当に “あっ” という間に過ぎてゆきました。

釣りの楽しさは、実は、釣りに出かけようとする前にも沢山感じる事ができるのだ、という事実を改めて再認識させられるくらいに和やかな時間を過ごすことができただけでも、もうそれだけでも私は嬉しくなってしまいます。

誰からともなく始められた乗船準備のための道具類の運び込みも、気が付けばいつしか全員参加でのスムーズな流れ作業で進み、もう後は乗り込みと磯上がり、そうして “釣るだけ”、となりました。


<他の7人には申し訳ないのですが、帰港後の、その辺りにいた仲間のスナップ>


我々20人の、これからの釣りの期待と満載になった釣り具を乗せた船は、静かな夜の闇に包まれた宇和島新港を滑るように出てゆきます。
日振島までの所要時間は、約45分
やがて最東端の横島周辺に到着する頃には、もううっすらと夜も明けようとしていました。

磯上がりは横島の “北の一番” から始まり、私は岡山の友杉さんと三番目に、 “7番” へ磯上がり。

この日振島、私にとってはかつて通いなれた釣り場の一つであったために、そのほとんどの磯へ上がった事があるという、馴染みの釣り場です。勝手知ったる釣り場で、勝手知ったる仲間と、のんびりと釣りを楽しむのも、たまには良いものです。

この日は大潮回りで満潮は午前6時30分
狙いの時合いは、早朝からの満ち潮から引き潮にかけて。そのための準備には、もう抜かりはありません。

午前5時前には早くも何故か25cmほどのアジが連続ヒット。???、“ぐれ釣り親睦会”なのに、まずは予期せぬアジからのスタートとなった訳ですが、まあ美味しい魚だから、という理由だけで即座にキープ

5時過ぎに潮はその流れる方向を変え始め、それに伴い、西端から東端へと釣り座を移動。
新たな釣り座で気分はさらに高まります。少し流れの勢いが強くなった午前5時30分前、少し沖合いを狙っていた私に、待望の35cm前後の尾長グレ。その後すぐさま友チャン(友杉さんの愛称)にもヒット

少しデジカメの調子が悪い上に、現場での手ブレも加わり、彼には申し訳ない写真になってしまいましたが、ともかくもスタートはまずまずでした。

さらに続いて友チャンにまたまたヒット
30cmオーバーを出足良く2人で三匹キープしたところで、もう辺り一面にはキタマクラがベッタリです。
もう何処へ撒き餌を撒いても、キタマクラ、キタマクラ、キタマクラ。潮が流れている沖へ撒いても、どこからともなく集団で集まってくる始末。
釣り始めて一時間足らずの間に、私などはもう針を二十本ほども盗られてしまったのですから、これはたまりません。

とうとう辛抱し切れなくなって、普段は余り掛けない偏向サングラスを掛け、大きい磯のぐるりをポイントを探すべく撒き餌を撒いてはみたものの、磯から眺めたそのキタマクラの数たるや、まるで “こげ茶色の絨毯” を思わせるようです。こちらでもまるで想像できなかったほどの、恐ろしい(?)光景が目の前に広がっているのですから、もうこれは普通(?)のグレ釣りではとても太刀打ちできません。

ーで、一番高い場所からマキエを撒きながら、キタマクラの就餌状況の観察です。
エサ盗り対策のその一として、まずはエサ盗りに気前良く(?)餌を与え、魚の習性を観察する事から始めます。

10分ほど撒き続けていると、何とキタマクラの下にグレの姿がちらほらと見え隠れし始めました。
これは大チャンスです。餌を求めて集まってきたグレは、もう釣れたも同然なのです。何故なら、キタマクラの餌を食べるそのスピードとグレのそれとでは、当然ながらグレの方がずっと速いのですから。

そこで、その習性の違いを利用し、多くのマキエを撒き、そのマキエの中を狙う “第一作戦” の決行です。
ーが、グレ釣りの世界、こちらで計算しているほど甘くはありません。
グレがマキエを狙って元気に動きまわる、とまでは全くゆかないのです。キタマクラの下で、ウロウロとしながらこぼれてきた餌をゆっくりと拾っているのですから。
最近のグレの習性は、多くの皆さんが気前良く与える撒き餌の影響で、随分と変化したようです。

それなら、ーとそこで、“第二作戦” の決行です。
その作戦とは、グレは潮の変化にキタマクラよりも遥かに敏感に動く、という習性を利用するのです。
また、キタマクラは潮のニゴリ(サラシの白い部分)を何故か嫌います。その習性をも同時に利用するのです。

そこで、狙いは一番潮が変化している場所
幸いにも、磯際のシモリ磯近くに、ほんの少しだけ潜り込むサラシ(長さにして1mほどの)が、時折ですができていたのです。
これを見逃す手はありません。この広い大きな磯で、狙いはもうその一ケ所の、ほんの僅かの、ともすれば見逃してしまうような面積です。

宝の山を見つけたような嬉しさで、やはり、グレは計算どうり釣れ始めました。2〜3匹釣ったところで、急いで友チャンを呼び寄せます。

一応簡単な説明をし、場所を譲って彼に釣って貰います。
何度かの仕掛けの打ち返しを繰り返したものの、けれども、残念ながら彼には釣れません。
ーが、これは実は仕方ない事なのです。
決して釣りの上手下手の問題などではなく、こんな釣りに慣れていない、というのが一番の大きな原因だったからです。
そこで、釣りの組み立てを少し説明し、何度かの実践を通じ、また横に並んで一緒に釣る事で、最終的には自分自身の体で覚えて貰う、という状況になったのは仕方ない事でした。

釣りとは、まずは眼で見て覚え、ーと同時に自分自身が体験して覚える遊びだからです。
そうした後で初めて、その裏付けがきちんと確立されて、最終には自分自身の釣り理論となるのですから。

何度かの繰り返しの後、一匹、二匹と釣り上げ始めてやっと、彼にも少し釣るコツが判ってきたようです。
そうして、彼のそんな楽しそうな顔を眺めるだけで、私も彼と一緒に上がった甲斐があった、というものです。


午前9時、まだ釣れていた7番磯に見切りを付けて磯変わりです。

私は欲が深いのです。もっと大きなグレを狙おう、との魂胆からだったのですが、残念ながら今日の日振島は釣り人ラッシュ。
やはり、もうめぼしい磯は空いていませんでした。

<21番から眺めた22番磯>

−で、カモメ島の23番と20番の間にある20番寄りの、21番へ上がる事になりました。

ーが、潮は目の前を右へいったり左へいったりとウロウロとするばかり。22番、23番の我々のメンバーを眺めながらの釣りでしたが、残念ながら(?)小ダイと35cmほどのイサギが一匹釣れたのみで、午後12時30分の納竿を向かえてしまいました。


帰港は午後1時30分過ぎ。
穏やかな日和に恵まれた中で、楽しかった釣りも無事終了しました。

この日は、全般的に大きいグレは、残念ながらそれほど多くは釣れていませんでした。(皆さん、沢山釣っていたのですが・・・・。)


<川田律夫さん、この日一番の大物の尾長グレです>

けれども、尾島のハナレで釣った岡山の川田さん、見事ごらんのようなカッコイイ尾長グレと、出会いました

釣った彼も勿論なのですが、このグレは、間違いなく次回の皆さんの期待へと繋がります

もう今日は、川田さんにも感謝、感謝、です。(その癖、目を閉じた写真を撮ってしまった私は、今日はダメ男ですネエ。彼は非常に男前なのに、、、。)


午後2時30分、宇和島市内のレストランで、恒例ともなりそうな、20人の元気な顔が揃っての食事会

夢中になって一日を自然と遊び、懸命になって釣りを行なった後の、“ホッ!!” と一息ついて、ゆっくりとくつろげるひと時です。

お互いがまだ顔見知りでない方もいたのですが、親しくなるための一番の方法は、まずは一緒に食事をする事、に尽きるんじゃないか、と思っています。

お互いが打ち溶けて話合える場というのは、食事を共にしたり、お酒を一緒に飲んだりする場から、不思議と、自然に生まれてくるものなのですから。

人間関係の一番の基本というのは、決して難しい理屈などではなくて、実は案外単純なモノだったのかもしれませんがー。

山口県の萩市から、広島市から、岡山県から、松山市から、そして徳島県から、それぞれが、それぞれの好きな遊びを共有し、そうして今までの知らない釣り人とひょんな縁から出会う。
未だ見ぬ大きい魚との出逢いも楽しいものですが、いろんな釣り人との出会いも、また新鮮で、楽しいものだという事を、また改めて再確認させられたような気がします。

楽しかった一日の最後は、いつしか全員の笑顔の内に幕が下ろされました。

だから、釣りは楽しいのでしょう。


<終わり>