鹿児島県甑島(上甑、里)のグレ釣り

'98/10/22



<いつもお世話になっている”蝶栄丸”と里の朝焼け>

出港前の風景

午前四時三十分、串木野港に集まった釣り人は、私を含め八人です。今回も講習会なので、お世話をする人を含めると、その倍の十六人にもなりました。
午前五時、辺りはまだ真っ暗闇の中での出船です。港から、目指す上甑の里磯までは、約一時間。離島といえども、そうは苦にならないくらいの時間です。
海は穏やかで、ほとんど波もありません。港を出た船は、まるで静かにすべるようにして我々を甑島まで運んでくれました。



磯上がり

-夜明けは、午前六時十五分。釣りの準備は、まずは、良く釣れるマキエ作りからのスタートです。-

撒き餌作りの講習会 グレ釣りは、マキエが重要な役割を果たします飲み屋のおねえちゃんだって、マキエをするのとしないのでは、こちらに注意を向けてくれる度合いが違います。グレ釣りも、残念(?)ながら、同様なのです。
早朝の時合いは、鹿児島在住の藤園さんによる撒き餌作りの実演と講習です。
まずははやる気持ちを押さえて、良く釣れるマキエ作りのスタートからなのです。
マキエの主役は、オキアミと今年デビューしたばかりのダイワの新鮮パック鮮度と香りは抜群です



実釣 午前七時、待ちに待った釣りが始まりました。
場所は、茅牟田崎(かやむたざき)の先端に位置する磯。
私は生れて初めて磯釣りを行うという、宮崎の原田勇さんと足場がよくて釣り易い船付きへ。仕掛けや道具の使い方の説明と、釣り方(マキエを撒くタイミングや仕掛けの投入方法など)の実践指導です。

道糸とハリスは二号で、ウキ下三ヒロの固定仕掛け。取りあえずは磯近くへマキエと仕掛けを入れました。
すると、いきなりのヒットです。掛かった瞬間、非常に乱暴だったかもしれませんが、まだ磯釣り未経験者の彼にすぐさま竿を手渡しました。
側で眺める私は、彼に、”巻いて、巻いて、竿をきちんと起こして!!”、の連発です。いい加減かもしれませんが、初めての人にはこのくらいで丁度よいのです。釣りとは、まずは自分で体験して覚えることからスタートするのですから。

とにかく、無我夢中で訳の判らない状態の釣り人と、掛かった魚との闘いがいきなり始まったのです。
30cmオーバーのイズスミでした。二投目、またまたヒットです。不思議なモノで、二匹目の魚を釣り上げるのは実にスムーズなのです。それは27cmほどの尾長グレでした。-”これ何という魚?”-、釣った彼は、実は魚釣りばかりか、魚の種類も全く知らなかったのでした。けれどもそれでいいのです。最初は誰も全くの未知からスタートしたのですから。素直な人には、魚も素直になって食ってきてくれるのです。
原田さん、グレ釣りの楽しさの魅力、少しは味わっていただけたでしょうか。


<ご存知の人も多いことと思いますが、地元、川内の”がらっぱ堂”の強力な釣り師、佐藤敦さん>


<宮崎の原田勇さん>
--この表情、釣り場ならではの笑顔です。--

磯変わりは午前九時。釣り場が二組に別れていたため、お世話をさせていただいている私と藤園さんの入れ変わりです。
グレはまだこの日の水温が二十六度と高かったためか、27cm前後が主体で、30cmオーバーはたまに混じる程度だったのですが、それでもコンスタントに釣れました。釣りは釣れてこそ楽しいのです。尾長グレがほとんどでしたが、小さいながらもその引き味は結構強かったのです。甑島の魚は、他の釣り場と比べても少し馬力が強く、そのために楽しさも少し多く味わう事ができました。

次の磯は、獅子の口に位置する”二番半”
空はいつしか早朝の薄曇りからは想像もできないようにすっかりと晴れ上がり、まるで真夏の太陽を思わせるような強い日差しに変わっています。
けれども、釣れていました。38cmほどのこの時期とすれば良型のグレが。残念ながら写真を撮りそこねてしまいましたが、船付きの磯際にはまだまだデカイグレが沢山見えるそうです。頑張って納竿までにはぜひとも頑張って釣って欲しいものです。

この磯で釣っている人は皆さんベテランです。ーという理由に甘えさせていただき、私も少し釣りを行うことにさせて貰いました。
潮は動かず、海は穏やかで、まるで夏磯のようです。マキエには大きいウスバハゲの大群、磯際には20cm前後の小グレとイズスミの軍団です。さらには時折ボラの大群までもが集まります。”何じゃこれは?!”、思わずそんな言葉も出したくなるような状況の中、やはりウスバハゲがヒットしました。次に食ってきたのが、40cmくらいのイズスミです。次には舞姫を思わせる黄色いヒブダイ。いずれも大きい魚なので、釣りの醍醐味だけは味わさせていただけました。

少し奥まった場所で釣っていた鹿屋市の池之上さんも、40cmオーバーのチダイやイズスミなどの大きい魚を混じえ、グレも小さいながらコンスタントに釣っています。釣れる魚の大半は、夏磯そのものでした。
またまた竿が曲がりました。でも今度の曲がりは、それまでとは全く違っています。
少し離れた場所から、彼の竿さばきを眺めていた私は、少し羨ましくも思い、けれどもその曲がり具合から、これはそれまでとは違った魚だと直感したのです。必死に、夢中になってやり取りを行っている彼には、多分聞こえなかったかもしれませんが、”ゆっくり、ゆっくり、慌てる事ないから。”、−と、叫んでいました。
私の心配など他所に、すごく上手にやり取りを行っています。何度も潜られそうになりながらも、もう竿はバットまで曲がって限界を越えているかに見えました。
”デカイ!”フエフキダイでした。使用しているタックルの能力を、遥かに超えている大物だったのです。
実寸で55cm、3s近い大物です。もう素晴らしい、の一言です。

鹿児島県鹿屋市で”Fishing海遊館”を経営している池之上裕一さん

One Point アドバイス
釣りは道具の持つ能力を引き出す技術も必要には違いありませんが、道具そのものの選択も非常に大切な要素です。
今回の竿は、”スーパーインターライン”。それも、SZの、F-1.5号、だったのだから驚きです。ハリスも私の感じていたとうりの強さを発揮した、タフロンZの二号。”よくぞ耐えた。”、と思えるくらいにもう根ズレでズタズタの状態でした。リールはまだ発売されたばかりの”トーナメントZ2500LBA”。リールの逆回転の滑らかさとその巻き取りスピードの速さ、フエフキダイの走りや突っ込みを、リールの頑張りをも味方にして征したのです。

大きい魚との出会いは、まずは良い道具との出会いから始まるのです。釣りから得られる感動は、道具の果たす役割を、決して無視はできないのです。
道具選びは、どうか慎重に選んで欲しく思います。



<全員がグレを。ーで、皆さんの笑顔が集まりました。>

*テスター仲間の、優しき若武者、藤園賢一郎さんと*

上甑島、里の紹介です。

鹿児島県の甑島は、渡船をチャーターすれば串木野港から僅か一時間足らず。離島といえども、非常に手軽に出掛けられる場所なのです。時期さえ間違えなければ、今なおやはりグレの宝庫です。特に上甑の里周辺には数多くの磯群が点在し、とにかくゆっくりと、そうしてのんびりとした釣りが行えます。争って磯取りをする必要もありませんし、どの磯でも丁寧に釣っていれば、グレは必ずといっていいほどに、釣り人に対して答えてくれます。大きいグレもいます。それよりも数釣り、というならそれも可能です。釣り人のそれぞれの欲求や要望に合った釣りができるのです。

私はこれまでにおおよそグレの釣れる場所へは、日本全国ほとんど、といっていいくらいに釣行を重ねてきました。中でも、甑島は何度でも出掛けたい魅力ある釣り場の一つに上げられます。また、”蝶栄丸”の石原船長が経営している民宿でのキビナゴは、釣り宿の料理のなかでも超絶品です。甑の里は、釣り以外の魅力にも溢れているのです。


<終わり