徳島県宍喰の磯釣り '99/5/15



高知県との県境近くに位置する大バエ
右側の釣り座は、この写真の左側先端デス。

風薫る五月の十五日、高知県との県境に位置している、徳島県宍喰(ししくい)での磯釣りです。
五月のゴールデンウイークの終盤からここ十日ほどは、もうこれ以上の日和は望めない、というほどの好天気に恵まれています。気温も、連日最高気温が二十六度前後と、もうすでに真夏を感じさせるような日和です。
そんな状況の中、“闘魂会徳島”、のメンバー六人と共に、県南の宍喰磯へ出かけました。私を含め、総勢七人です。

もう辺りが明るくなった午前五時、港到着。釣り支度を整え終えた午前五時二十分、竹ケ島周辺の磯を目指した先発の船が、先ずはお先に出港です。
先発隊は、磯取りの関係から、私を含めた四人が乗り込みました。目指す磯は、“大バエ” です。

午前五時三十分過ぎには、もう磯上がり。
大きな磯なので、上がったのは大阪の底物の釣り人二人と我々の四人の計六人。お互いのグループが邪魔にならないように、西の先端と東の先端に別れて釣り座を選びます。

今回の私の役目は、我が “闘魂会” では二番目の若手メンバー(二十五歳と二十六歳)、西山誠君三橋政英君の釣りのお世話(?)です。もう一人の同行は、私よりは十歳若いのですが、もうベテランの域に達した山口真司さん
若い人が一緒に釣りで遊んでくれるというのは、私にとっても嬉しい限りですので、、釣りの楽しみ方や、さらには少しでも釣りの基本技術などが伝われば、という思いで一杯なので、今日だけは(?)、特に、必死に(?)なって、釣ることばかりか、お世話をもしよう、と思っています。

この日は大潮、満潮は午前五時過ぎでした。磯上がりと同時に、すぐさま釣り座の選択です。
潮の様子を見てから、東側先端に一人、胴に二人、となったのですが、いかんせん全体の潮の動きが悪過ぎます。けれども先端では山口さんが竿出しからいきなりのヒット。27cmほどのグレでした。
“それじゃー” とばかりに、十分もしない内に、先端に三人並びましたが、後が全く続きません。潮止まりの時間なので仕方ない事だったのですが、それにしてもマキエに群がるエサ盗りのその数には、正直驚いてしまいます。オセンオヤビッチャ、さらにはマクラ大群が、まるで待ち構えていたかのように群がっているのですから。これほどのエサ盗りを見たのは久し振りです。

さあて、今日の釣りは、これは大変な状況になるのではないか、という嫌な予感がしてなりません。

潮さえ動けば何とかなる、とは思うのですが、それにしても辺り一面べったりと居座っているのですから、こりゃーたまりません。


エサ盗りが普段の状況より異常に多い時は、多分ここしばらくは潮の動きの状態が悪いのだ、と判断できます。
長年の釣りから、私は変な(?)知恵を学んだのです。けれども潮さえ動き出せば、いくら沢山いるエサ盗りといえども、そうそう恐れる事はありません。そういう事もまた過去の経験から学んでいるのです。問題は、潮の動き具合いかんなのです。

何処へ撒いても無数に集まってくるエサ盗り。10cmにも満たないような小グレも沢山見えます。けれども小グレは撒いたエサには全く無関心で集まらず、底のほうでウロウロしているだけです。この現実は、グレを釣ろうとしている釣り人にとっては、実は致命的な事なのです。

“さあてとー、困りました。本当に困りました。” ーが、こういった状況下での対処方、とにかくまずは私が実践していろいろとやってみるしかありません。釣りは理屈ではないのです。現場で、現実と向かい合い、状況に応じて釣りを組み立てて、そうすることによって始めて答えも出てくるばかりか、理論となり自分の知恵ともなるのです。

こんな状況下での一番の対処方は、とにかく一番潮の変化している場所を狙う先ずはこの一言に尽きてしまいます。
胴の正面前方は大きなシモリ磯、そこから払い出された潮の変化を狙います。懸命に釣っていて一時間ほど経った頃、やっと一匹ヒットです。ウキ下は三ヒロほど、37〜38cmほどのイサギでした。

けれども今日は、私が釣ってばかりはいられません。とにかく若い人に釣って貰わなければ・・・・・。
そこで最初は二人の仕掛けのチェック。こちらも驚かされるような、竿はダイワの最新のインターラインSZとSX、リールも最新の2500LBA、もう全く問題はありません。(少し道具が良すぎますネ?!) 針は2人とも4号と小さいモノを使っていました。

まずは、エサの刺し方の説明です。(このHPにも紹介してありますので参考になさってください。)とにかくオキアミの尻尾の付け根から身と皮の間に沿って、逆エビに刺す、という事。エサ盗りの多い状況下では、特にサシエの針持ちを良くしなければなりません。これだけでも、随分と持ちが良くなるのですから。

次に、狙うべきポイント、仕掛けの操作方法、マキエの入れ方、ウキ下の設定などなどの簡単なアドバイス。
午前中の釣りで、キタマクラ、小グレなどのエサ盗りを釣り上げているのを見て、非常に嬉しくなりました。(彼等は私のそんな顔を見て、怪訝そうな、そうして理解に苦しむような顔をしていましたが、、、。)
とにかく釣りには順番があるのです。いくらエサ盗りといえども、まずはこれで一安心

干潮を少し過ぎた頃に、昼食を兼ねての作戦会議(?)です。最初に変更を指示したのは、それまで使っていた針。
エサ盗り対策のその一として、エサ盗りが食べ残すような、少し大きい針を使って貰うようにアドバイス。
これは非常に大切な事なのです。近年、何が原因かは判りませんが、小針を使用する人が増えてきました。それは多分グレの事だけを考えて、釣れる確率を高めるためにそうなったのでしょうが、現実の海にはグレばかりが泳いでいる訳ではないのです。グレを釣ろうと思うのなら、グレ以外の魚の事も考えなければならないのが当然だと思うのですが、いかがなモノでしょうか・・・。

小さい針に刺したエサは、エサ盗りにとっては食べ易い大きさのためか絶好のエモノとなります。大きい針に刺したエサなら、エサ盗りも一口(?)でパクッ!! とはいかないものなのです。少しでも食べ残してくれさえすれば、エサ盗り以外の魚が食ってくれるチャンスは多くなるのです。少しはエサ盗りの事も考えて釣りを組み立てる、という事が、エサ盗り対策のまずは基本となるのですから。

午後一時過ぎ、干潮からの潮変わりを狙って、それぞれがそれまで以上に真剣になって釣りを行ないます。
期待していた潮の動きは、朝からノラリクラリとするだけで、全くといっていいほど動きません。エサ盗りは相変わらず周辺にベッタリと居座ったままで、その状況から判断しても、潮の状態が好転した兆しは全くといってよいほど感じられません。
長年釣りをしてきて、こんな条件はまず間違いなく最悪の部類にランクされる、と思います。

けれども若い釣り人の持つ、勢い、あるいは執念でしょうか、まずは西山君イサギ釣り上げました。型の良い、美味しそうなイサギです。

釣った本人は勿論ですが、私にとってもこんな嬉しい出来事はありません。

次は三橋君グレ。それまでポツポツと釣っていた22〜24cmの小グレとはちょっと大きさが違います。30cmオーバーの小さいながらも尾長グレです。さらにはまたまた西山君もグレ

若手2人がこんな厳しい状況の中で、とにかくも自力で釣ったという事実、このそれぞれの魚は、釣れ盛っている時の10倍にも20倍にも匹敵するのです。あっぱれ、あっぱれ !!

小グレの食いも非常に悪い状況でした。終日に渡って潮も動かず、そうしてポツポツとしか小グレでさえも釣れなかった状況の中で、それぞれがこれほどの手応えのある魚を釣ったのです。

条件が厳しければ厳しいほど、その中で釣った魚のその存在価値は高まってきます。同じ一匹でも、沢山釣れている時の一匹とは比べものにならないほどの値打ちがあるのです。釣りは何も沢山の魚を釣ることばかりが、最終の目的、などでは決してないのですから。
これこそが釣り本来の持つ面白さであり、釣りから得られる何ものにも変え難い感動なのです。

とにかくも、これで私も一安心。またまた釣りの楽しさを、私よりも遥かに若いこの2人から、改めて味合わせて貰う事が出来ました。


午後三時納竿です。苦しく、けれども楽しかった磯釣りも終了です。
港では他のメンバー三人がもうすでに帰港していました。“北ワレ” という磯へ上がっていたらしいのですが、やはり終日に渡って潮は動かずエサ盗りだらけで、苦戦を強いられていたようです。同行の林基志さん林雅芳さん、それでもそれぞれにイサギ27〜28cmのグレを釣っていたのですから、渋とい(?))釣り師達です。けれども岡田高男さん40cm近いグレ、これはもうリッパ、というほかありません。

帰りの途中にもしかして恒例(?)になりそうな反省会(?)を兼ねての食事会です。
要点は下記に列記しましたが、今日の釣りは明日への釣りに繋がる、という数多くのヒントを、この日の釣りから、我々はたくさん学び取りました。ビールを飲みながら(運転している人には申し訳なかったのですが。)、また明日への釣りに向かって前進です。釣りという遊びは、一歩一歩の知恵と工夫の積み重ねなのです。その事をお互いが確認し合えただけでも、この日は七人が集まった、その意義があった、というものです。

書き忘れていましたが宍喰磯の渡船代、ここもお隣りの高知県甲ノ浦と同じく、¥3,000.-、という安さなのです。


[潮の動きが悪く、エサ盗りだらけの状況下で、少しでも型の良い魚を釣るためには]

要点を列記すれば、
一番目
には、上記したようにサシエサをいかにしてエサ盗りに取られないようにするか、という工夫です

二番目
は、ウキ下の問題。少しでも型のよい魚を狙うのであれば、いくらサシエサを盗られようとも、我慢してエサ盗りのタナよりも深く釣ることです。(この日のウキ下は、二ヒロ半〜竿一本前後でした。)
三番目には、とにかく少しでも潮が変化している場所を、集中して狙うこです。
四番目には、マキエのフル活用。潮で魚が動かないならマキエで魚を動かせよう、と試みることです。普段の釣り以上に、狙ったポイントへ、マキエを集中的に多く入れ、魚が動いてくれるチャンスをこちらから仕掛けてやることです。

この四つの組み合わせをきちんと行なえば、結構何度かのチャンスに巡り合えるものですので、一度試されてはいかがでしょう。
この日、私はこの作戦を実行して、手前事で恐縮なのですが、運も良かったのかもしれませんが、30cmオーバーの魚に三匹も出会うことができたのですから。


<終わり>