香川県小豆島のチヌ釣り'98/11/8



小豆島は海岸線が長く、小豆島本島だけで126km、属島も含めると170kmにもなります。小豆島は瀬戸内海で淡路島に次いで大きな島で、周囲126q、人口約3万7千人の地中海を思わせる温暖な気候と、穏やかな風光の美しい島です。 


今年は例年と少し勝手が違います
十一月だというのに、非常に暑い(?)のです。まるで真夏なみの太陽が、頭上から容赦なく、ガンガンと照りつけてくるのですから。
例年なら秋磯、秋チヌ本番の季節を迎えているはずの、四国は香川県の小豆島
今回はチャーター船で、”倉敷グレ研”の皆さんを鍛える(?)べく、チヌ釣り勉強会で出掛けました。
私をも含め、総勢十五人
早朝の四時に、集合場所の岡山県の牛窓からの出港です。
前日はお酒を飲みながらの、私の講釈会に十人余りも集まってくれました。調子に乗って、とうとう一部の人達と出港前まで飲んでいたため、(私にとってはよくある出来事なのですが、、、。少しカワイソウな気もしましたが、まあ、たまにはよろしいんじゃないでしょうか?

出港前

午前三時のまだ辺りは夜の闇の中。出港までの一時間ほどの間を利用して、マキエをそれぞれが作ります。
少し慌ただしさが落ち着いた頃を見計らって、集まっている皆さんに、仕掛けやサシエサ、釣り方などのワンポイントアドバイスを説明させていただきました。何故ならば、釣りは基本が一番大切だと常々私が感じ、考えているからなのです。

勝手に自分の考えるとうりに釣りを楽しんでも、誰にも文句は言われません。それはそれで良いのです。
けれども、実際のところ釣り人のほとんどは、実は非常に欲張りな人種なのです。一匹釣れるよりは二匹でも三匹でも多く釣りたい、隣で釣っている人よりも自分のほうが少しでも多く釣りたい、せっかくのお金と時間をやりくりしながら出掛けた釣り場で、いつもいつも、魚に食い逃げされるだけではたまりません。それぞれ各人の想いは違うでしょうが、やはり魚釣りは釣れないよりは釣れたほうが良いのです。釣れないよりは、釣れたほうが断然楽しいのですから、釣るためには釣りの基本的な約束事や、ルール、ノウハウなどを覚えておいてもソンはありません

ーと言う訳で、少しだけですが釣りのノウハウに関するおしゃべりをさせていただきました。
集まっている”倉敷グレ研”の皆さんは私より遥かに若い人達が大半です。釣りに対するその熱心な眼差しは、当然ながらこちらにもヒシヒシと伝わってきます。私にとっても釣りに対する皆さんのその真摯な姿勢などは、教えられる部分が非常に多いのです。


磯上がりと実釣

目指す小豆島へは三十分ほどで到着します。順番に磯に上がって、それぞれが夜が明け始める六時半過ぎを待つのです。私はもう八年来の釣り仲間になる小原誠君と共に、一番最後の午前五時二十分に東向きの”水の子”という磯へ。

夜明け前に少し睡眠など、と思ったのですが、現実は私の思惑どうりにはなりません。足場は狭い上に横になるための平らな場所がありません。さらには、風が非常に強いのです。釣りもできず、眠ることもできない、辛い(?)時間です。

正面の彼方の水平線からは、何度見ても美しい海の夜明けがやってくると、釣りもいよいよスタートです。少し小原君の釣りを眺めていると、磯際近くに大きなエイが二匹ウロウロしています。針に刺したオキアミがなかなかなくならない理由も解りました。瀬戸内海にはエイが結構に多いのですが、まあ潮さえ動けば何とかなるはずです。チヌの魚影の濃さは、瀬戸内海に関してなら絶対なのですから。
早朝の時合いに、まずは磯ベラが釣れました。何匹か釣れ始めたので、まあその内にチヌも顔を見せてくれるはずなのです。


<この日一番の大物を釣った陽気な、光畑洋一さん>

<3mm差で二位、でも余裕の笑顔、川田律夫さん>

釣り始めて一時間ほど経ったころ、やっと30cm足らずのチヌが釣れました。さあ、これからです。
けれどもその後、潮は磯の辺りをウロウロするだけで、こちらに期待したようには動きません。万事休す、といったところです。瀬戸内海では、潮が動かないことには魚も動きません
潮の動きが瀬戸内海での釣りの最重要ポイントとなるのです。


磯変わりと現場での講習会

午前十時前に六人ほどが上がっていた”小磯灯台”へ磯変わり。
辺りの潮の動きはここも悪く、残念ながら全員が釣果には恵まれていませんでした。となれば、ここで私が、と思い久々に真剣に懸命に、そうして湧目も振らずに一時間以上も頑張ったのですが、食ってきた魚は僅かにベラが一匹のみ。やはりダメ、の一言でした。これは私にとっても非常に困った状況なのです。まあ釣りにはつきものの事態なのですが、潮には勝てません。水温もこの時期には二十三度前後と非常に高いのですから、仕方ない事です。

ところが、北西向きの磯ではポツポツながらも、チヌは釣れていました。
メンバーの何人かは、やはりチヌを釣っていたのです。私にとっても嬉しい限りです。せっかくの大会で、やはり狙った魚が釣れなければ大会自体も盛り上がりません。誰かが釣ってこそ、釣れなかった人にも次のチャンスに期待が持てるのですから。

午後には見切りをつけて、全員が南東向きの大島の”スベリ”へ集合しました。
釣れないなら、今日の釣りには見切りをつけて明日への釣りに繋がる釣りを行う、これは私の信条です。せっかく磯へ来たのです。タダでは帰れません。その方法はまた機会があれば書くことにして、今回は全員に一つの磯に集まって貰いました。
フカセ釣りの基本である、潮の読み方、マキエの撒き方の実践、ポイントへの仕掛けの入れ方やその操作方法、などを現場で、実際にそれぞれが自分自身で目で見、参考にして貰うためなのです。

釣れない釣りなら、魚以外の何か他の楽しみを持って帰って貰う、それも釣りの一つの方法だと私は考えています。

潮止まりは丁度正午過ぎ。時合いはもうとっくに過ぎてしまいました。
日差しは真夏を思わせるようにギラギラと容赦なく照りつけています。海のその表情は、瀬戸内特有の穏やかそのものです。これが十一月の初旬とはとても思えないくらいの陽気の中、私は魚を狙う目的ではなく、仕掛けやマキエを皆さんの視線を背中に感じながら、海に向かって入れ始めました。

マキエの撒き方は、ピンポイントを狙う一点の固め打ち、エサ取り対策に効果を発揮する縦や横、あるいは扇状に広げて撒く水打ち撒き(水を道路にシャクで均一に散らばせて撒くような方法)、魚を広範囲に動かせるための雨降り状態のようなパラパラ撒、ウキの周りに囲んで撒く三点もしくは四点の固め撒き、潮下から食い上がってくる魚を潮上へ注意を向けさせるための潮上撒き、ーと、普段の自分の釣りの中で実践しているいくつかの方法を試みました。

とにかくマキエの撒き方一つにしても、非常に多くの方法や工夫が必要とされます。そのにしても、また回数にしても然りなのです。海の状況や、魚の餌に反応する活性状況を考えながらの作業ですから、勿論数学の公式みたいにきちんと答えが出せるものではありません。けれども、たかがマキエの撒き方にしても、いくつかの撒くための基本パターンはあるのです。基本をきちんと認識していなければ、当然ながら応用などはとてもできないのですから。

釣りは理論もさることながら、眼でみて覚えたり、体全体で覚え、感じなければなければならない事も沢山あるのです。
私にとっても、日々勉強と工夫の連続なのですが、何せ今日集まっている”倉敷グレ研”のメンバーの皆さんは純朴で非常に好感の持てる若者集団なのです。釣りの情熱に溢れている人が、私の言動や行動に興味を示してくれ、それが少しでも伝わって何か次の釣りにお役に立てれば、私にとっても魚が釣れる以上に嬉しい事なのです。

楽しい時間は、少し暑い小春日和の中でどんどんと過ぎてゆきました。昨夜は全く寝ずの釣行だったにも関わらず、不思議と元気一杯になりました。楽しい時間は釣り人に不思議なエネルギーを与えてくれます。それは活力と元気なのかもしれません。

午後三時前に納竿です。帰港し、港で解散してからの道中での食事の席。二〜三人ほどでゆっくりと食事をしようと思っていたのに、気がつけばいつしか十人近くのメンバーが集まっていました。釣りを通じて見知らぬ人達と知り合い、なごやかな時間を過ごせるということは本当に心地良いものです。

私は釣り以上のモノを、皆さんから最後までいただいたような気がします。
釣りは魚と出会うのも楽しいのですが、同じ気持ちを持っている釣り人との出会いも、本当に楽しいものなのです。
またまた、釣りが好きになりました。


小豆島の磯について

私の小豆島釣行は初めての体験です。小豆島という名前から想えば、小さい豆みたいな島だと思ったら、実は大間違いなのです。瀬戸内海の流れをものともしない馬力の強い高速の渡船で島を一周するだけでも、ゆうに二時間半はかかるとのことなのですから。今回上がった磯は、南東向きから北西向きにかけてなのですが、磯から磯へ移動するだけでも一時間近くはかかりました。非常に広大で、島の周りにはそれこそ数え切れないくらいの釣り場が点在しています。勿論チヌの宝庫です。未だ誰も上がったことのない磯の数のほうが圧倒的に多い、と感じます。周辺の潮の流れは瀬戸内海という大きな海峡の中に位置しているため、潮の動きは複雑です。潮回りと場所と時期、を選んで釣行すれば、非常に魅力のある釣り場です。
今回同行していただいた小原誠君は、数年前から小豆島へ足繁く通っては、随分とチヌを釣っています。数釣りもさることながら、瀬戸内海での大物である50cmオーバーも何匹も釣り上げている、とのことですから、チヌ釣りファンにとっての未だそうそう知られていない釣り場の一つだと断言できます。機会があれば、ぜひ一度出掛けられてはいかがでしょう。

渡船 ***問い合わせ先は、瀬戸内渡船 <つぼ江さん>TEL(086)-279-4986です。***


<終わり>